4月19日(日)アクロス福岡で木造をテーマにした「夢の理由ー大規模木造の時代」と題してシンポが
あった。
メイン講演者に日本建築士会連合会会長を務める三井所清典氏が予定されているということで出かけた。
三井所氏は日本の戦後の建築史を振り返り、不燃化推進の観点から木造受難の時代が続いたことを述べ、日本の地理的特徴から木の資材に恵まれた風土に基づく「日本建築学」という学問を確立する必要性を訴えた。
また集成材活用の流れだけでなく伝統的構法によるものづくりができる環境の整備の重要性にも理解を示した。
会場から伝統構法見直しについての国土交通省管轄の「伝統的構法の設計法作成検討委員会」の成果についての質問があった。
検討委員会は伝統構法を建築基準法のなかで正しく位置づけるのを目標にして2010年から3年間運営されてきているが、具体的な法的な成果まではなっていない現状がある。
三井所氏は学問的に不明な点が煮詰まっていけば、いづれ解決するのではないかとの展望を述べた。
その理由として2008年から検討委員会が発足し、坂本功氏が中心でその後2010年から委員長が鈴木祥之氏に代わって継続されてきた。
三井所氏が坂本氏が伝統構法に対して深い理解のある方であるとフォローされていたので、今回改めて坂本氏の岩波新書の「木造建築を見直す」を読み返したり、鈴木氏のネットの情報を追跡したりしていたら時間がたってしまった。
お二人とも1995年の阪神淡路大震災に強い衝撃を受け現地調査にはいられている。坂本氏はNPO法人「木の建築フォーラム」の理事長として木造について考えてこられた方であり、また鈴木氏は阪神淡路大震災で現地調査をするうち、木造でも壊れていない建物があることに気づき、その履歴を追っていくと戦前に建てられた伝統構法の建物であることにたどり着かれ、伝統構法の解明に向かわれる。実大実験も多く実施され、2013年石場建てを含む伝統的構法の設計法案3種類を国交省に提案された。
できるだけ早く伝統構法が建築基準法のなかで位置づけられる日が来るのを期待したい。